校庭の桜の木をベンチに 1

最初にこの話が来た時は断ろうと思っていた。桜と言えば、山間部に生えている山桜なら良材だが、関東平野のど真ん中、しかも校庭の木となれば育ちがよくて固くて狂うのは目に見えていたからだ。
  一応話だけでもと打ち合わせに行き、先方の思いを聞き、桜がソメイヨシノではなく山桜だと言うことがわかり、やってみることにした。
 伐採は、新校舎建設のゼネコンが行うので、事前に出かけて、カラースプレーでマーキング(切断する位置の指示)をおこなった。

桜の並木伐採前の桜
学校創設時に植えられたもので、樹齢は35年前後、太いものは直径55cmぐらいもある。なんという育ちのよさ。

運搬
 伐採後に、製材所の人とユニックで引き取りに行く。結構な量である。ついでに頂いたケヤキ4玉と桜17玉ぐらい。

ユニック製材
作りたいものの要望に合わせて、材を4種類の厚みに製材する。これだけの量を一気に製材するのは、即断即決でかなり頭も疲れる。

桟積み皮むき、桟積み
 皮むきと桟積みで丸三日がかり。

ここまでで一応、運搬,製材,桟積みなどの費用の実費を精算していただく。保管料は、今後の材料の虫食いや腐れ、狂いなどを保証できないので無料にした。田舎の木工屋だから出来ること。

経過
 あれだけ皮むきしたのに虫がはいっった。テッポウは入らなかったが、白太には小さい穴がポツポツ。木酢液でも塗ればよかったか。 最初の半年ほどは、多いに暴れていた。白太を多く含む表面に近い材は反りかえり、割れが入り、使い物にならない。それでも狂わない材もある。固体差があるようだ。1/3ほどは薪になる運命か。今回の良かったところは、心材の占める面積が多かったことだ。心材に関しては中心部を除き予想以上に狂わなかった。しかしとにかく固いし重い。

小物製作
 約1年後。乾燥の速い8分の板から、製作に入る。コースター500枚。翌年に菜箸。50セット。これは細長いので、苦労した。木目の素直そうな柾目材で作ったがそれでも1/3は反ってしまってボツ。 1寸2分の板で花台50枚。コースター追加で500枚。

そしていよいよベンチ製作。
校庭の桜の木をベンチに 2